太っている人はガンになりやすいのか

やせていいる人より太っている人のほうがガンになりやすい

食生活が大きくガン発症の原因に直結している

太っている人はガンになりやすいという意見があります。そう推察する理由のひとつは、「太っている人はいろいろな食べ物を多く食べる人だ。これらの食べ物には発ガン物質も含まれているだろうから、それに触れる機会が多い」というものです。

ふたつ目には、「太った人は肉を多く食べているだろう。肉は大腸ガンなどを増やすらしい」というもので、3つ目には「太っている人、背の高い人は成長ホルモンが多く出ている。成長ホルモンはガンの増殖を促進する」というものでした。

世界的にこの問題は検討されました。第一に、「太っている人は病気になりやすいのか」ということが研究されました。体重といっても背の高い人と低い人では脂肪のつき具合も違います。そこで身長も考慮した指標が考案されました。

それは体格指数(BMIです。これは、体重(kg)を身長(m)で2 回割ったものです170cmの人が70kgの場合、BMI値は24 になります。正常値は18.5 ~24.9です。18.5未満はやせ、25以上は肥満とされます。

欧米でBMIと死亡率の関係を調べると、何度、どこで研究しても、25以上30未満の人がもっとも健康で長生きするという結果が出てしまいます。

一方、18・5未満の人の死亡率は非常に高いのです。つまり、肥満よりもやせの方がはるかに危険だということになります

困ったことに日本の20代の女性の30前後、30代の女性の15%前後がやせに入ります。つまり、日本の女性は長生きできない人が多いことになります。日本でも、長生きをしている人たちは24~27 くらいで、少し太り目の人たちがもっとも健康だというデータが出されています。

では、ガンはどうでしょうか。国立がんセンターが10年にわたり、男女約9万人のガンの死亡率と肥満の関係を調べました。すると、やせている人のガンになる危険率は高く、太っている人は過度の肥満の 人でもガンになりにくいということが分かったのです。ちなみに、BMI40というのはものすごい肥満です。

肥満とガンの関係が特に疑われていたのは前立腺ガンです。前立腺ガンは男性ホルモンが多いとなりやすく、女性ホルモンが多いとなりにくいという、ホルモン依存性のガンです。体重が増すと若干、前立腺ガンになりやすいように見えましたが、これは統計では意味がない、つまり信頼できないデータだということになりました。

一方、身長はどうでしょう。男性の方が女性より身長が高いのは、男性の方が男性ホルモンが多く出されているからです。そ」で身長の高い人は前立腺ガンになりやすいのではないかと疑われました。

これも国立がんセンターの研究ですが、体重も身長も前立腺ガンの危険率に関係ないということが分かっています。もちろん食べ過ぎて肥満になるとか、運動しなくて肥満になる場合には、さまざまな病気になる可能性があります。ですから、何を食べても、どのような生活をしてもよいということではありません。

ただ、「太っているからガンになりやすいだろう」などと心配することはかえってよくないと言いたいのです。太っていてもガンになりやすいわけではありませんし、糖尿病や心筋梗塞も太っているからなりやすいのではありません。むしろ、運動をしないということが問題なのです。

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