大豆イソフラボンのホントのところ

大豆イソフラボンの功罪

プロポリス、アガリクスの副作用

ガンで亡くなる人が増加すると共に世間で評価の高い抗ガン健康食品の真偽

日本では、「神秘的なものには神秘的な効果がある」という考えを持つ風習があります。何かを信じるときに何か特別なものに感情を寄せるからだと思います。特にきのこについては、「体によいからガンなどにも効くはずだ」という意見を持つ人が多くいました。霊芝は名前も神秘的なので、健康食品として有名です。

ガン患者さんに評判の健康食品

などのように取り上げられる定番の健康食品でもあります。 きのこの中で、特に新聞などでしばしば広告されていたのが、アガリクス茸です。アガリクス茸はハラタケ属に属するきのこで、マッシュルームもこれに属します。

これらのきのこが現在のように注目を集めるようになつたのは、1980年代に「培養細胞で腫瘍の増殖を抑える作用がある」と唱えた日本の研究発表がきっかけになっています。 アガリクス茸に含まれるグルカンという成分が腫瘍を抑えるという、培養細胞や動物実験のデータが出されたのです。 さらにこの研究をした大学教授のや、監修した本が毎月のように三大紙に広告として掲載され、健康雑誌でも宣伝されたので、一般的「これは本当にガンに効くのではないか」と思う人も多かったようです。

そこで、東北大学の坪野教授は、世界の医学雑誌に発表されたアガリクス関係の論文を全部探してみることにしました。全部で61件あったということですが、ヒトを使った研究結果を論文にまとめていたのは7つでした。このうちで、いわゆる「くじ引き試験」を行なっていたものが2つあり、ひとつは韓国の研究で、もうひとつは日本の研究でした。

日本の研究では、35~70歳までの乳ガン、子宮体ガン、卵巣ガンの女性患者30人を対象にしています。この人たちを2群に分け、アガリクスを飲ませた人とそうでない人の生活の質の変化を調べたのです。すると30項目のうちの7項目はアガリクスを飲ませた方がよくなっていて、残りの23項目では差がありませんでした。

日本の研究では、35~70歳までの乳ガン、子宮体ガン、卵巣ガンの女性患者30人を対象にしています。この人たちを2群に分け、アガリクスを飲ませた人とそうでない人の生活の質の変化を調べたのです。すると30項目のうちの7項目はアガリクスを飲ませた方がよくなっていて、残りの23項目では差がありませんでした。

効果があったのは「睡眠の質がよくなった」、とか「力仕事ができるようになった」という項目であり、血液の反応、いわゆるナチュラルキラー細胞(体内のガン細胞やウイルス感染細胞を見つけて殺す細胞) などの活性には変化はありませんでした。

韓国の研究では生活の質について、食欲、抑うつ、不眠に効果があったとされています。またナチュラルキラー細胞などの活性はアガリクスを投与した方がよいという結果が出ました。それ以外に、症例報告としてアガリクスを飲んだ人たちに効果があったという論文は5つありました。ところが、いずれも奇跡的に効果があったというようなものではなく、「効果があったことは否定できない」といった程度です。プラシーボ効果が大きいのかもしれません。

では副作用はどうでしょうか。アガリクスには、肝臓障害を引き起こす副作用が報告されています。服用を中止したら肝臓機能は改善し、再度服用したところ、機能が悪化したという報告もあります。そこで、さまざまな検討がされた結果、アガリクスについては次のような結論が出されています。

「ガンの進行や生存に関して、アガリクスが有効であるという科学的な根拠はない」

「アガリクスには軽度から重度にわたる副作用が生ずる場合があるが、その頻度は分かっていない」

このことを考えると、アガリクスや他のきのこの抗ガン作用には疑うべき点の方が多く、副作用を考えると勧めることはできません。アガリクスと名前がよく似ていて、やはり抗ガン作用があるとして広く用いられているものにプロポリスがあります。

プロポリスは、ヨーロッパでは昔から民間薬としてやけどや傷の治療に用いられてきました。最近では防腐剤、化粧品として使われています。日本では、健康食品として用いられています。 プロポリスは、ミツバチが樹皮や新芽などの部位から摂ってきた樹液などに、ミツバチ自身の分泌液を混ぜて作ったものです。成分としては、樹脂 50~6%、ロウが25~30%、花粉が15~20%でその他のミネラルなどが数%含まれています。

プロポリスを培養細胞に加えると、ガン細胞の増殖抑制、細胞死などが見られるという論文はあります。

結論としては、腎臓ガンや前立腺ガンでは、顕著な効果はなかったというぽうこうことになり、勝胱ガンでは再発を起こさなかった例が一例、腫瘍が縮小した例が1例でした。問題は副作用です。主なものは肝臓障害、皮膚炎、口内炎などでした。したがって、最終的な結論は次のようなものです。

  • ガンの進行や生存に対するプロポリスの有効性を示す科学的根拠はない
  • 安全性にも疑問がある

このような食品の摂取には、十分な注意が必要です。 プラシーボ効果でよくなるのでもよくなるのであればいいと思う人は試してみてもいいかもしれません。結果、治ったり軽減したりすることもあるかもしれません。

ページの先頭へ