午前中に頭を使う人は朝食をしっかり食べる

甘い物が悪者にされがちな世の中の風潮ですが脳にとってはどうでしょうか?

甘いものがすべて太る原因になるわけではない

最近は、TV でも「脳トレ」ブームです。キー局もローカル局もこぞって脳の専門家を招いて番組を構成しています。

  • 脳の血流の変化を見る近赤外線トポグラフィー
  • ブドウ糖の取り込みを見るPET(陽電子放射断層撮影法)
  • f-MRI(機能的磁気共鳴映像法)

などが用いられています。血流の増加は、神経細胞が活動するときに必要なブドウ糖の供給が増すために起こります。脳は、ブドウ糖以外をエネルギー源として使えません。筋肉などはブドウ糖以外にも脂肪を燃焼させてエネルギーを取り出すことができますが、脳は脂肪からエネルギーを取り出せないのです。

ですから、普通100mg/dlくらいある血糖値が、40mg/dlくらいに下がると意識を失います。よく糖尿病の人は「朝インスリンの注射をし、その後ゴルフに行くと、途中で気持ちが悪くなる」ことがあります。

ブドウ糖はインスリンがあると細胞内に入っていきますが、運動をするとインスリンなしでも筋肉の細胞に入っていきます。

朝インスリンの注射をして血糖値を下げているときに、急に運動するとブドウ糖が筋肉に入りすぎて脳に行き届かなくなります。それで気分が悪くなるのです。

さて、PETでは、陽電子を放射する同位元素を結合させたブドウ糖の取り込みを測定します。脳が活動するとこの取り込みが増し、それが画像で色として示されます。

一方、f-MRIでは、酸素化ヘモグロビンが還元される、つまり酸素を失うときの磁場の変化を調べています。ブドウ糖は取り込まれた後に酸素を消費し、最終的に二酸化炭素と水になります。したがってf-MRI酸素の消費を測定していることになります。つまり脳の活動は、酸素消費に比例しており、これを測定することで脳の活動が測定できるとしているのです)。

ブドウ糖が記憶に及ぼす影響を研究した結果もあります。まず言葉の記憶ですが、例えば「Tから始まる言葉を1分間にできるだけ多く言う」テストをすると、コントロール群は詭が平均でしたが、ブドウ糖を摂取した後は胡になりました。

一方、血糖値と文章の記憶(文章を読ませてその内容を訊く)では、血糖値が6mg/dl未満では3点、65~85mg/dlでは12点、113mg/dll以上では14点と、血糖値の上昇とともに点が上がりました。

また抽象的な論理の質問のテスト後は血糖値が下がる人が多かったのです。つまり、思考はブドウ糖を消費するのです。

さらにアルツハイマー病の患者ではどうだったでしょうか。アルツハイマー病の患者23名にブドウ糖を摂取させた場合と、サッカリンを摂取させた場合の認知機能の変化を調べました。すると、ブドウ糖を摂取した方が、言葉・文章などの理解、記憶の他に、顔の認知、自分の居場所の理解もよくなっていたのです。ところでご飯を食べた後、腸管内のブドウ糖はどのくらいの時間で吸収されるのでしょうか。食べ物のブドウ糖は、大体でんぷんとして供給されます。

それが腸内で分解され、吸収されるのに最大で4時間かかります。その後は吸収され肝臓に蓄えられたグリコーゲンからブドウ糖ができて、それが全身、特に脳に送られます。会合朝ご飯を食べなくても血糖値が下がらないという人がいます。ところが頭を使うとブドウ糖が脳内に入り、血糖値が下がります。つまり、午前中に頭を使う仕事をする場合には、前の晩の食べ物からのブドウ糖では足りないので、朝ご飯を抜いてはいけないのです。

睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を活発にするためにも朝食は欠かせません

ページの先頭へ