子どもの脳の発達には、魚、肉、卵が必要

大人は過剰摂取のほうに注目が集まっていますが子供には必須の動物性たんぱく質について

子どもの脳の発達に魚、肉、卵が必要

DHA(ドコサヘキサエン酸) が脳によいらしいということは非常に有名で最近はよく耳にします。そのきっかけは、脳の脂肪の分析から始まりました。

生まれたばかりの赤ちゃんの、脳の大脳皮質の脂肪酸の30%、網膜のリン脂質の45%がDHAだということが発見されたのです

脳では神経と神経のつながりであるシナプスのところにDHAが非常に多く、網膜ではシナプスと光の受容体の部位に非常に多いといわれています。

胎児は妊娠の最後の時期は母親からの血液で、生まれて1年半の間は母乳で、DHAとARA(アラキドン酸)が供給され、脳にどんどん集まっていきます。もともとDHA はn-3脂肪酸のリノレン酸から作られ、アラキドン酸はn-6脂肪酸のリノール酸から作られます。両方とも植物油に含まれているので、植物油を摂れば体内で生成できるはずですが、合成の力は強くなく、どうしても体外から摂取する必要があるのです。

ミルクにDHAを付加すると、脳内、網膜内のDHAが増えることが分かりました。 未熟児や、生後、DHAをあまり与えられない乳児の脳内には、DHAが少ないことも分かりました。乳児にDHAを付加しないミルクを与えると、運動機能に障害が出るという結果も示されました。また、米国のなどが行なった研究では、妊娠末期にDHAを与えた場合には妊娠期間が伸び、出産時の体重、身長、頭蓋の大きさが大きいという結果が得られています。

一方、-6脂肪酸であるアラキドン酸(肉や卵に多く含まれる) は、あまり重要視されませんでした。むしろ血栓を起こす可能性があるとして敬遠されていました。

ところが、最近になってアラキドン酸の産生が楽になり、多くの研究がなされるようになりました。 人乳にはアラキドン酸が入っていますが、牛乳には入っていません。そこで、牛乳をそのまま乳児に与えた場合、それにDHAを加えた場合、DHAとARA(アラキドン酸) を与えた場合の、乳児の生後18ヶ月目の知能、運動能力の発達を調べました。すると、知能を示す神経発達指標はDHAを加えた群で増していますが、ARAとDHAを加えたグループではもっと増えていたのです。

一方運動能力ですが、これはDHA群ではあまり効果がなかったのですが、ARA +DHA群では有意に増加していたのです。じつは、アラキドン酸も脳の膜を構成するリン脂質の重要な成分です。成人の脳内では脂肪酸の17%がDHAですが、アラキドン酸も12%を占めます。これが減ると成人でも脳機能に障害が起きますが、乳幼児だと行動などにも影響が出ます。母乳で育てた乳児(アラキドン酸は十分に供給される)、牛乳で育てた乳児( アラキドン酸が欠乏気味)、牛乳にアラキドン酸を付加したミルクで育てた乳児が小学校に入った頃、行動に異常がないか調べられました。

すると、牛乳で育てた子どもには落ち着きがなく行動に問題があったのですが、母乳で育てた子ども、アラキドン酸を付加したミルクで育てた子どもにはそのような症状は少なかったのです。脳の機能の発達を考えると、肉、卵を食べてアラキドン酸を摂ることは子どもにも大事だと考えられます。

魚にもアラキドン酸は多いのですが、DHA、EPAが10倍くらいあるので、結局DHAが脳に入ってしまいます。そこで肉も同じくらい食べる必要があります。また鶏卵にはアラキドン酸とDHAが同じくらい入っているので、脳の健康には理想的な食べ物といえます。

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