血栓症を防ぐ生活習慣と食習慣
血栓症について、血栓予防について、そして血栓症の治療について、現代人は目を背けることができない状況になってしまいました。血栓症に関する昔からの云われ、そして治療に関する情報、食習慣に切り込んでいます。
背びれの青い魚を食べれば、心筋梗塞を防げるか
最近は、青魚の油を積極的に摂った方がいいというのが常識です。
DHA | 100種類のサプリメントの効能と効果
http://more-supplement.info/use/?s=DHAに書かれているとおりです。
EPAはエイコサペンタエン酸の略称で、DHAはドコサヘキサエン酸の略称です。両者ともn-3系の脂肪酸であるリノレン酸から作られます。リノレン酸がプランクトンなどによってEPA、DHA になり、それが魚に取り込まれて、魚の脂の成分になっています。
卵にも相当量含まれています。これらが見つかったきっかけは、イヌイットの生活にありました。魚やアザラシを主食とするイヌイットは、脂肪の摂取量が多いのに、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞が少ないのです。彼らは他の人種よりも魚の脂、特にEPAやDHAを多く含む脂を摂っていると推察されました。
この推察により、「背びれの青いサバのような魚には、EPAやDHAが多く含まれている。これを食べれば心筋梗塞の予防になる」という考えが提唱されました。 血小板に含まれているアラキドン酸(n-6系の脂肪酸) が刺激されると、プロスタグランディンという物質になり、これがさらにトロンボキサンA2という物質になります。ところがEPAを摂取すると、トロンボキサンんができにくくなるので、血小板がべたべた血管壁につかないというのがその理論です。
2002年に、米国で心臓の突然死と食べ物の関係が調べられました。2000名以上の医師を17年追跡調査し、魚の摂取量と心臓の突然死の関係を調べました。 すると、突然死のない人たちの血中のn-3 系の脂肪酸の量が約5.1%だったのに、突然死した人たちの血中のn-3系の脂肪酸の量は約4.8%でした。 とくにDHA の量が減っていました。このことから、EPAよりもDHAの方が、血栓を阻害する作用が強いことが分かったのです。
そこで、n-3系の脂肪酸は血小板に作用するだけでなく、血管壁にも作用し、コレステロールを溶かして、流し出す作用があるという説が出されるようになりました。実際EPA やDHAはサプリメントとしても売られていて、多くの人が摂取しています。では- 6系のアラキドン酸はどうでしょうか。
アラキドン酸からはプロスタグランディンという物質ができ、それから血小板を刺激するトロンボキサンんという物質ができます。つまり、血小板にアラキドン酸を加えると、血小板は活性化されて、べたべたいろいろなものに付着するようになるのです。 アラキドン酸は肉、卵に多く含まれています。魚にも含まれていますが、魚には10倍くらいのEPA、DHAが含まれているので、競争の原理で、主としてEPA、DHAが体に取り込まれて、アラキドン酸はあまり取り込まれないのです。
そこで、卵を摂ると心筋梗塞になりやすいのかどうかという研究が多くなされました。1週間に卵をひとつ食べるか食べないかという人と、毎日1個以上食べる人の心筋梗塞の発症率を、約10万人の男女で調べました。
すると、心筋梗塞の発症率はほとんど同じだったのです。特に女性の場合は、毎日1個以上食べている人の方が、あまり食べない人よりも心筋梗塞になりにくかったのです。
アラキドン酸は血小板に結合すると血小板を活性化させるのですが、血管壁に与えられると血小板の活性化を防ぐ物質になるのです。アラキドン酸は必要に応じて、血小板を活性化させたり、させなかったりするのです