血栓症を防ぐ生活習慣と食習慣

血栓症について、血栓予防について、そして血栓症の治療について、現代人は目を背けることができない状況になってしまいました。血栓症に関する昔からの云われ、そして治療に関する情報、食習慣に切り込んでいます。

肉、牛乳、卵が血栓を防ぐ

緑葉野菜にいかにも含まれていそうな名前のビタミンが葉酸です。1931年に米国のウイル博士が、インドのムンバイで、悪性貧血という重症の貧血の人に酵母を食べさせて治したことから、この成分が注目されました。

悪性貧血はについてこちら。

それが葉酸というビタミンでした葉酸は緑葉野菜に含まれていますが、肝臓、肉、酵母、牛乳にも含まれています。葉酸が血栓に大きな役割を演じていることが分かったのは、ホモシステインという物質の発見からでした。

葉酸の効能、効果についてはこちら。

血中にあるメチオニンというアミノ酸はLDLコレステロールといっしょになり、血管壁に入り、泡沫細胞を作るということが分かりました。つまり、ホモシステインは動脈硬化を引き起こし、血栓を作るのです。ビタミンB12、B6、葉酸はホモシステインを分解し、血栓を防ぐ効力を持っているのです。

ホモシステインが増えると心筋梗塞の危険もありますが、脳梗塞の危険も高まります。つまり脳梗塞の予防にはビタミンB群の摂取が必要で、葉酸なども含む、肉、牛乳、卵などの摂取を欠かさないようにすることが大事です。

偏食をしていると葉酸の摂取量が減ります。また高齢者は胃腸の働きが弱いので、葉酸を普通に摂っていても、体に入ってきません。葉酸が不足しがちになるのです。さらにアルコールを多く飲む人は葉酸の吸収力が落ちます。米国の調査では、アルコール依存症の患者の半数が、葉酸が不足しています。

アルコールは葉酸の摂取を抑え、さらに腎臓からの排泄を促進するのがその理由ですが、アルコール依存症の人は偏食の場合が多いので、これも葉酸不足に拍車をかけています。葉酸は、細胞分裂の際、タンパクを作るのに欠かせない酵素を助けます。そのため、妊婦やガン患者など、細胞分裂が盛んな人は葉酸が不足しがちです。ついでに、細胞分裂の際に2倍になるDNAが異常になると、細胞がガン化します。葉酸は変化したDNAの壊れた部分を修復し、もとに戻す効果を持っています。ですから葉酸はガンの予防にもよいのです。

葉酸が不足すると、細胞分裂が起きにくくなります。骨髄では毎日ものすごい数の赤血球が作られていて、赤血球はその前段階では核を持っています。核がなくなると赤血球になるのですが、葉酸が不足すると成熟した赤血球ができにくくなり、未熟な巨赤芽球という赤血球ができてしまいます。巨赤芽球は数も少なく、酸素を運ぶ能力も低いので、貧血になるわけです。葉酸酸やビタミンB12は、もともとこの貧血、つまり悪性貧血を防ぐビタミンとして知られていました。一方ビタミンB6は、非常に吸収しにくいものです。

ビタミンB12は、胃から分泌される因子、内因子と結合し、十二指腸の下部で吸収されます。ですから、胃が弱い、あるいはガンなどで胃を切除した人、ポリープなどで十二指腸の下部を切除した人は、B12が吸収されません。

したがってビタミン剤やサプリメントでいくらB12を摂っても、不足することが起こるのです。もうひとつ、葉酸が重要な作用をする病気があります。

赤ちゃんの神経管欠損症です。胎児の初期には脳も脊髄も神経管という組織からできます。葉酸がないと、その生成がうまくいかず、ひどいときには無脳症といって、脳のない子どもが生まれたり、脊椎の一部が左右に割れている二分脊椎症になったりします。

葉酸の大事な時期は受胎後1ヶ月です。妊娠が分かってから葉酸を補給しても間に合いません。適齢期の女性はほうれん草などの緑葉野菜や肝臓、牛乳を日ごろから摂るようにしましょう

妊娠中、授乳中に必要なビタミン

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